この記事は「机上調査プラン」です。筆者は男鹿・秋田を訪れたことがありません。行ってみたい場所を、実際に行くつもりで本気で調べて計画した記事です。料金・営業情報は2026年9月時点で確認していますが、お出かけ前に各公式サイトで最新情報をご確認ください。

東京から男鹿半島、秋田への位置マップ(イラストはイメージです)

この計画のまとめ

  • 予算の枠:2人で20万円(1人あたり10万円)・2泊3日・東京発
  • 行き先は秋田県。男鹿半島の男鹿温泉郷に1泊、秋田市内に1泊
  • 1日目は雲昌寺のあじさいを見て男鹿温泉へ、2日目は入道崎となまはげ館、3日目は秋田市で藤田嗣治の大壁画を見て帰ります
  • 青いあじさいに埋め尽くされた寺と、横20mの壁画。どちらも「ひとつのものが量で迫ってくる」場所です
  • 費用試算:2人で約18.7万円(1人あたり約9.4万円)。20万円の枠に対して1.3万円ほどの余裕
  • ベストシーズンは6月中旬から7月中旬。雲昌寺のあじさいの時期

秋田は遠い。それでも2泊3日にする理由

東京から秋田までは、新幹線こまちで3時間37分から3時間54分。指定席で片道18,460円、2人の往復だけで73,840円かかります。どこ10でこれまで書いてきた旅先の中でも、交通費はいちばん重い部類です。

その交通費は、1泊で帰っても2泊しても変わりません。だからこの計画は2泊3日にしました。1泊2日にすると、2人で15万円ほどかかるうちの半分が移動費になってしまう。

そしてもうひとつ。男鹿半島と秋田市は、性格がまったく違います。男鹿は海と岩と温泉、秋田市は美術館と市場と城跡。片方だけでは秋田を見た気になれない距離感が、この2つのあいだにはあります。

主役は雲昌寺のあじさいです。男鹿半島の北浦にある小さな寺で、副住職が1株から株分けを続けて1,500株以上まで増やしたと伝えられています。境内が一面、青一色になる。あじさいの色は土壌の酸性度で変わりますが、ここは青に振り切っています。

もうひとつの主役が、秋田市の藤田嗣治「秋田の行事」。縦3.65m、横20.5mの大壁画で、1937年の作品です。秋田県立美術館の2階に、この1枚のために作られたギャラリーがあります。観覧料310円。

行き方を調べる

この路線は、新幹線が飛行機より安い

どこ10のプラン記事では飛行機を選ぶことが多いのですが、東京⇔秋田は逆でした。

  • 秋田新幹線こまち(東京⇔秋田):指定席片道18,460円・所要3時間37分〜3時間54分。往復2人で73,840円
  • ANA(羽田⇔秋田):2027年6月の運賃を調べたところ、ほぼ全便が片道22,280円。往復2人で89,120円。これに秋田空港⇔秋田駅のリムジンバス(片道1,200円・約40分)が往復2人で4,800円加わり、合計93,920円

新幹線のほうが2万円安く、しかも秋田駅に直接着きます。空港からの二次交通が要らない分、時間の読みも楽です。この計画では新幹線を選びました。

2026年9月に2027年6月の運賃を調べた時点では、ほぼ全便が片道22,280円でした。朝一の7:45発も、夜20:25発の最終便も同額でした。

新幹線の時刻は、行きに使うなら東京6:32発のこまち1号(秋田10:24着)が最も使いやすい便です。帰りは秋田16:12発のこまち34号(東京20:04着)、もう少し粘るなら17:10発のこまち38号(東京21:04着)。

なお、えきねっとの「お先にトクだ値」を使えば3割引になりますが、発売は乗車日の1か月前から13日前までで席数も限られます。あじさいの時期を狙って早くから宿を押さえる計画とは、時期が噛み合いません。試算は正規の指定席運賃で組みました。

秋田から男鹿へは、なまはげの絵の電車で

男鹿線を走るEV-E801系(写真:MaedaAkihiko / CC BY-SA 4.0)

秋田駅から男鹿駅までは男鹿線で約53分、810円。乗り換えなしの直通で、1日14本走っています。

この路線の車両がEV-E801系「ACCUM」という蓄電池電車で、車体になまはげが描かれています。電化区間で充電し、非電化区間はバッテリーで走る仕組み。旅の入口としては十分に絵になります。

こまち1号で秋田10:24着、10:38発の男鹿線に乗れば男鹿駅に11:31頃。初日の午後をまるごと男鹿で使えます。

男鹿半島の中は「あいのりタクシー」で回る

男鹿半島は広く、観光地どうしを結ぶ路線バスがほとんどありません。代わりにあるのが「男鹿半島あいのりタクシー」という予約制の乗合交通です。3つの系統があります。

  • なまはげシャトル(通年):男鹿駅・真山エリア(なまはげ館)・男鹿温泉郷・男鹿水族館GAO・入道崎。あじさいの特別拝観期間だけ雲昌寺にも停まります
  • 寒風山ライナー(6月1日〜10月31日):男鹿駅・寒風山回転展望台・滝の頭
  • 男鹿半島ぐるっと便(6月1日〜8月31日の土日祝ほか):鵜ノ崎海岸、ゴジラ岩、八望台なども回る便

完全予約制です。Webは乗車前日の21時まで、電話は前日17時まで。予約と問い合わせは男鹿市観光協会(0185-24-2100・9:00〜17:00)。1名から利用でき、人数に応じてタクシー・ジャンボタクシー・バスのいずれかで運行されます。支払いは現金かクレジットカード。

運賃は路線バスのような均一制ではなく、乗車区間ごとに変わります。男鹿駅からだと真山エリア1,100円、雲昌寺1,300円、男鹿温泉郷1,500円、男鹿水族館GAO 1,600円、入道崎2,500円(2026年6月時点)。小学生は半額、未就学児は無料です。

ここに組み方のコツがあります。男鹿駅以外の地点どうしは、入道崎を除いておおむね1,100円均一です。入道崎は男鹿駅から直接行くと2,500円ですが、男鹿温泉郷からなら1,600円。つまり駅を起点に往復するより、半島の中を渡り歩く形にしたほうが運賃が下がります。

この計画で乗るのは5区間で、1人6,700円、2人で13,400円です。試しに他の回り方も計算してみましたが、1日目になまはげ館を挟む案は1人7,400円、最終日に入道崎から男鹿駅へ戻る案は7,600円になりました。この行程がいちばん安く回れます。

注目したいのは、あじさいの時期は男鹿でいちばん公共交通が充実することです。雲昌寺に停まるのは特別拝観期間だけ。寒風山ライナーもぐるっと便も6月から動き出します。車がなくても半島を回れる、数少ない時期です。

モデル行程(2泊3日)

1日目:雲昌寺のあじさいを見て、男鹿温泉へ

1日目の行程マップ(イラストはイメージです)

東京6:32発のこまち1号で秋田へ。10:24に着いて、10:38発の男鹿線に乗り継ぎます。男鹿駅着は11:31頃。ここで昼食をとってから、なまはげシャトルで雲昌寺へ向かいます。

雲昌寺の境内を埋めるあじさい(写真:掬茶 / CC BY-SA 4.0)

雲昌寺の拝観時間は9:00〜17:00(最終入場16:30)、拝観料は平日一般700円です。土日祝も700円ですが、最も混む特定の土日だけ900円に上がります(2026年は6月27・28日と7月4・5日でした)。中学生以下は無料。

境内は決して広くありません。ただ、その狭さのなかにあじさいが密度で押し寄せてくるので、写真で見るより実物の圧が強いはずです。

あじさいに縁取られた雲昌寺の参道(写真:掬茶 / CC BY-SA 4.0)

2026年は夜間のライトアップ特別観覧が中止になりました。例年は18:45〜21:30に開けていたので、青い花が照らされる時間を期待していた人には残念な知らせです。2027年に復活するかどうかは、開催の告知を待つしかありません。

拝観のあとは、なまはげシャトルで男鹿温泉郷へ。雲昌寺と同じ北浦地区なので、移動は短い区間です。

男鹿温泉郷の入口(写真:Totti / CC BY-SA 4.0)

泊まるのは元湯 雄山閣。日本秘湯を守る会の宿で、名物は石焼料理です。炭火で焼いた石を秋田杉の桶に落として、魚と野菜の汁を一気に沸き立たせる漁師料理。目の前で湯気が上がる料理は、旅の1日目の夕食としては強い。

館内にエレベーターがなく階段が多いこと、未就学児は泊まれないこと、館内は禁煙であることは、予約前に確認しておいてください。夕食の最終スタートは19:00です。

2日目:入道崎の灯台となまはげ館、そして秋田市へ

2日目の行程マップ(イラストはイメージです)

朝、宿からなまはげシャトルで入道崎へ。男鹿半島の北西端で、緑の草原が断崖でいきなり途切れて日本海に落ちる場所です。

入道埼灯台から見下ろす入道崎(写真:Ippukucho / CC BY 3.0)

黒と白の縞模様の入道埼灯台は、全国に16基しかない「のぼれる灯台」のひとつです。参観寄付金は中学生以上300円。参観期間は例年4月上旬から11月上旬で、2026年は4月4日〜11月8日でした。

ここで注意が必要なのが参観時間です。午前は9:00〜12:00、午後は13:00〜16:00(4月上旬〜10月中旬の土日祝のみ16:30まで)で、12時台は閉まります。入場は終了20分前まで。午前のうちに登って、そのあと崎の食堂で昼食にするのが素直な組み方です。

昼食後、なまはげシャトルで真山エリアへ移動してなまはげ館へ。実際に各集落で使われてきた100体以上のなまはげの面が並びます。隣接する男鹿真山伝承館では、大晦日のなまはげ習俗を座敷で再現して見せてくれます。共通券が一般1,100円(なまはげ館単独なら660円)、8:30〜17:00で年中無休。

なまはげシャトルで男鹿駅に戻り、15:38頃の男鹿線で秋田へ。16:31頃に秋田駅に着きます。

秋田市内の宿は中通温泉 こまちの湯 ドーミーイン秋田。秋田駅から徒歩8分で、天然温泉の大浴場と露天風呂があります。男鹿温泉の湯とは泉質も雰囲気も違うので、2泊で性格の異なる温泉に入れる形になります。

夕食は駅の西側、川反(かわばた)の飲食店街へ。きりたんぽ鍋、稲庭うどん、比内地鶏、ハタハタ。秋田の郷土料理をまとめて試すなら、この夜が本番です。

3日目:秋田市を歩いて、大壁画を見てから帰る

3日目の行程マップ(イラストはイメージです)

最終日は秋田駅の周辺だけで完結します。移動はすべて徒歩圏です。

9:30に開く秋田市立赤れんが郷土館から。1912年に秋田銀行本店として建てられたルネサンス様式の建物で、国の重要文化財です。観覧料は一般310円、秋田市民俗芸能伝承館(ねぶり流し館)との共通券が370円。60円足すだけで、竿燈の実物が並ぶ館も見られます。高校生以下はどちらも無料です。

10:00に秋田県立美術館が開きます。ここが最終日の目的地です。

藤田嗣治の「秋田の行事」は、縦3.65m、横20.5m。1937年に、秋田の実業家・平野政吉の米蔵で、わずか15日間で描き上げられたと伝えられています。竿燈、梵天、なまはげ、市場。秋田の四季の行事が1枚の画面に詰め込まれています。2階の大壁画ギャラリーで常設展示。開館は10:00〜18:00(入館17:30まで)、観覧料は一般310円、大学生210円、高校生以下無料。秋田駅から徒歩約10分です。

横20mの絵を310円で見られる。これがこの計画でいちばん割の良い出費だと思っています。

昼は秋田市民市場へ。秋田駅から徒歩5分で、鮮魚も総菜も土産も揃います。ただし日曜定休なので、最終日が日曜になる日程では組めません。開店は朝5時台からで、昼にはひととおり見て回れます。

時間が余るようなら、千秋公園(久保田城跡)を歩くのもいいでしょう。ただし6月下旬はツツジ(5月上旬)が終わり、ハス(7月)にはまだ早い、花のない時期です。久保田城御隅櫓は150円、佐竹史料館は常設展500円。

秋田16:12発のこまち34号で、東京着は20:04です。

費用試算(2名合計。1人あたりも併記)

新幹線・雄山閣に泊まる場合

  • 新幹線(こまち・東京⇔秋田・指定席往復):73,840円/1人36,920円
  • 宿1泊目(元湯 雄山閣・石焼料理の2食付き):50,000円/1人25,000円
  • 宿2泊目(ドーミーイン秋田・朝食付き):23,400円/1人11,700円
  • 現地交通(男鹿線往復・なまはげシャトル):16,640円/1人8,320円
  • 観光費(雲昌寺・入道埼灯台・なまはげ館共通券・県立美術館・赤れんが共通券):5,560円/1人2,780円
  • 食事・雑費:18,000円/1人9,000円

合計:2人で約18.7万円(1人あたり約9.4万円)(宿が繁忙期の上限料金だと2人で約19.4万円)

2泊とも宿泊費を抑える場合

1泊目を男鹿観光ホテル(90分バイキングの2食付き・2人36,000円前後)、2泊目をリッチモンドホテル秋田駅前(朝食付き・2人16,000円前後)に替えると、合計は2人で約16.6万円(1人あたり約8.3万円)になります。石焼料理を諦める代わりに2万円強が浮く計算です。

楽天トラベルで男鹿の宿を探す →

行くなら6月中旬から7月中旬

この計画の主役は雲昌寺のあじさいなので、時期はそこで決まります。2026年の観覧期間は6月13日から7月20日まででした。開花の状況で前後するので、2027年の日程は春先の告知を待つことになります。

この時期を選ぶ利点は、花だけではありません。前述のとおり、寒風山ライナーもぐるっと便もこの時期から動き出します。男鹿半島が公共交通でいちばん回りやすくなるのが、ちょうどあじさいの季節です。

逆に、冬の男鹿には別の顔があります。大晦日のなまはげ行事、2月の「なまはげ柴灯まつり」。ただし冬は入道埼灯台も参観休止で、なまはげシャトルも入道崎に停まりません(11月1日〜3月31日)。同じ半島でも、行ける場所が入れ替わります。

正直、まだ分かっていないこと

  • なまはげシャトルの運賃の改定。記事に書いた運賃は2026年6月時点のものです。なまはげシャトル公式サイトの料金ページは現在エラーで表示できない状態が続いているので、予約時に電話(0185-24-2100)で確認するのが確実です。
  • 2027年のあじさい観覧期間。この記事は2027年6月の旅を想定していますが、雲昌寺の観覧期間は毎年その年の開花状況で決まります。2026年は6月13日〜7月20日でした。
  • 夜間ライトアップの再開。2026年は中止でした。青いあじさいが照らされる時間を目当てにするなら、開催の告知を確認してから日程を決めてください。
  • 宿の実額。2027年6月の宿泊はまだ予約が開いていません(各社おおむね半年先まで)。試算はJTBの通年料金レンジと、他季節の実額から組んだ推定です。あじさいの時期は男鹿の繁忙期にあたるので、レンジの上限寄りになる可能性が高いと見ています。2026年12月ごろに予約が開いたら、実際の金額を確認してください。
  • 寒風山に行く時間がない。男鹿半島には寒風山という草原の山があり、回転展望台から半島全体を見渡せます。ただし寒風山ライナーは男鹿駅を起点にしているため、男鹿温泉から直接は行けません。この行程に入れると入道崎かなまはげ館が落ちます。3泊できるなら、ここを足すのがいちばんの伸びしろです。

まとめ

東京から秋田までの往復に7.4万円。それだけ払って行くのだから、1泊で帰るのはもったいない。そう考えて組んだ2泊3日です。

青一色の境内と、横20mの壁画。どちらも「ひとつのものを、これでもかという量で見せられる」体験で、そこに男鹿温泉の石焼料理と秋田の郷土料理が挟まります。合計で2人約18.7万円、1人あたり約9.4万円。どこ10のプラン記事ではいちばん高い計画になりましたが、遠さと中身は釣り合っていると思います。

写真はWikimedia Commonsより:Oga-Line-EV-E801-G1(MaedaAkihiko / CC BY-SA 4.0)、Unsho-ji, Oga 20210706d(掬茶 / CC BY-SA 4.0)、Unsho-ji, Oga 20210706a(掬茶 / CC BY-SA 4.0)、Oga Onsenn-kyo(Totti / CC BY-SA 4.0)、NyudozakiViewFromLighthouse(Ippukucho / CC BY 3.0)。いずれもリサイズのみ。イラストはイメージです。

費用概算(2名合計・2名1室/1人あたり)

  • 新幹線(こまち・東京⇔秋田・指定席往復):73,840円/1人36,920円
  • 宿1泊目(元湯 雄山閣・2食付):50,000円/1人25,000円
  • 宿2泊目(ドーミーイン秋田・朝食付):23,400円/1人11,700円
  • 現地交通(男鹿線・なまはげシャトル):16,640円/1人8,320円
  • 観光費:5,560円/1人2,780円
  • 食事・雑費:18,000円/1人9,000円
  • 合計:2人で約18.7万円(1人あたり約9.4万円)