この記事は「机上調査プラン」です。筆者は黒部峡谷・立山・富山市内のいずれも訪れたことがありません。行ってみたい場所を、実際に行くつもりで本気で調べて計画した記事です。料金・運行情報は2026年9月時点で確認していますが、山岳ルートは運行・料金が変わりやすいので、お出かけ前に各公式サイトで最新情報をご確認ください。

黒部峡谷・立山・富山の位置。東京から北陸新幹線で黒部宇奈月温泉へ、帰りは富山から。3地点は富山地方鉄道でつながっている(イラストはイメージです)

この計画のまとめ

  • 予算の枠:2人で15万円(1人あたり7.5万円)・2泊3日・東京発。主眼は来年(2027年)のシーズン
  • 行き先:黒部峡谷トロッコ+立山黒部アルペンルート(室堂)+富山市内
  • 1日目:東京→黒部宇奈月温泉→トロッコで欅平往復→宇奈月温泉泊
  • 2日目:富山地鉄で宇奈月から立山へ→ケーブルカーと高原バスで室堂(標高2,450m)→夕方に富山市街へ→富山駅前泊
  • 3日目:富山市内(ガラス美術館・環水公園・富山湾の寿司)→午後の新幹線で帰京
  • 費用試算:2人で約14.1万円(1人約7.1万円)
  • 結論:新幹線は「行きは黒部宇奈月温泉、帰りは富山」の片道ずつ。峡谷→山→街と標高を変えながら、黒部峡谷から立山を経て富山市内へ向かう

なぜこの3つを1本にするのか

きっかけは、黒部峡谷トロッコの記事(1泊2日・2人で10万円)を書いたときに眺めていた富山地方鉄道の路線図です。トロッコの起点・宇奈月温泉と、立山黒部アルペンルートの起点・立山駅が、同じ私鉄でつながっていることに気づきました。宇奈月温泉から寺田駅で乗り換えて立山駅まで約2時間。富山県の二大山岳観光は、実は1本のローカル私鉄の右端と左端なのです。

立山連峰を背に走る富山地鉄立山線の電車(写真:MaedaAkihiko / CC BY-SA 4.0)

だったら、と考えたのがこの計画です。1日目に峡谷の底をトロッコで走り、2日目に標高2,450mの雲の上へ上がり、3日目に富山湾の寿司で締める。V字谷、雲上の火山地形、海の幸。標高差2,400mを2泊3日で移動する旅です。

トロッコは2026年10月1日に宇奈月〜欅平の全線運行を再開しました。ただし欅平は復旧工事のため、当面は駅舎とビジターセンター以外に立ち入れません(経緯は黒部峡谷の記事に書きました)。アルペンルートの営業は例年4月15日〜11月30日で、トロッコ(4月20日〜11月30日)とほぼ同じ。つまりこの2つを1本の旅にできる季節は毎年7か月あり、春に行けば「雪の大谷」、秋に行けば紅葉と、季節の目玉も揃っています。

行き方を調べる

この計画の骨格は、新幹線を往復同じ駅にしないことです。

  • 行き:北陸新幹線はくたか 東京→黒部宇奈月温泉 指定席12,300円、約2時間20分
  • 帰り:北陸新幹線かがやき 富山→東京 指定席13,180円、約2時間5分

新幹線の乗降駅を変え、宇奈月から立山を経由して富山へ向かう行程です。料金は往復で買う場合とほぼ変わりません。

県内の移動はすべて富山地方鉄道です。2025年4月に29年ぶりの運賃改定があり、現在の運賃は電鉄富山〜立山が1,420円、電鉄富山〜宇奈月温泉が2,160円です。

  • 新黒部→宇奈月温泉:約25分・700円台
  • 宇奈月温泉→立山:寺田駅乗り換えで約2時間・2,500円前後(通し運賃は要確認)
  • 立山→電鉄富山:約1時間・1,420円

そして2日目の主役、立山黒部アルペンルート。立山駅からケーブルカーで美女平へ7分、そこから高原バスで室堂へ50分。運賃は立山駅⇔室堂 往復7,380円(片道4,090円。公式の運賃表より、2026年2月現在)。きっぷは当日窓口でも買えますが、混雑期はケーブルカーが時間指定の整理券制になるので、公式のWEBきっぷで事前購入しておくのが確実です。

なお、室堂から先は立山トンネル電気バスで大観峰、立山ロープウェイで黒部平、ケーブルカーで黒部湖と乗り継いで黒部ダムまで行けますが、立山⇔黒部湖の往復は16,480円と2倍以上になり、時間も1日仕事になります。この計画では室堂で折り返します。ダムはまた別の宿題です。

モデル行程(2泊3日)

以下のトロッコの時刻は、2026年10月1日〜11月30日の公式時刻表を参考にした仮置きです。2026年9月13日時点で2027年の公式時刻表は確認できていないため、発表後に行程を見直します。

1日目:峡谷の底へ

1日目の流れ。新幹線と富山地鉄で宇奈月温泉へ、トロッコで欅平を往復して温泉宿に1泊(イラストはイメージです)

東京8:41発のはくたかで黒部宇奈月温泉11:07着。地鉄に乗り換えて宇奈月温泉へ。昼を済ませ、トロッコ12:50発で欅平へ向かい、14:37発で戻ります。この往路便は片道1時間22分の峡谷走行です。この日の中身は黒部峡谷の記事と同じなので、トロッコの予約ルール(欅平行きは電話のみ・0765-62-1011)や欅平の立入制限の詳細はそちらをどうぞ。

宿はトロッコ駅前徒歩2分の「フィール宇奈月」。1泊朝食型のホテルで、夕食は温泉街に出ます。翌朝が早いので、朝食付きで手早く出られるこの宿がこの計画には合っています。

2日目:標高2,450mの雲の上へ、夜は富山の街へ

2日目の流れ。富山地鉄で立山へ、ケーブルカーと高原バスで室堂に上がり、夕方に富山市街へ下りる(イラストはイメージです)

朝の地鉄で宇奈月温泉から立山へ。寺田駅で立山線に乗り換えて、立山駅には昼前に着きます。ここからがアルペンルートです。

ケーブルカーで美女平へ上がり、高原バスに乗り継ぎます。バスは50分かけて標高差1,500mを上がっていき、途中で日本一の落差を持つ称名滝が遠望でき、樹林帯が低木になり、やがて森林限界を超えます。窓の外の植生が変わっていくのを眺めているだけで、バスの50分は長く感じません。

室堂平のみくりが池。晴れれば立山連峰が水面に映る(写真:くろふね / CC BY-SA 4.0)

室堂は標高2,450m。バスターミナルを出ると、立山連峰の主峰・雄山を正面に、みくりが池までの遊歩道が続いています。池を1周して戻る散策で往復40分ほど。9月でも上着が必要で、夏でも雪が残る場所です。高山の天気は午後に崩れやすいので、室堂の滞在は2〜3時間とみて、15時台のバスで下ります。

立山駅から地鉄で電鉄富山へ約1時間。夜は富山駅周辺で富山湾の幸を。白えび、ホタルイカ(春)、ぶり(冬)と季節の主役が変わりますが、通年で楽しめる回転寿司の水準が高いのが富山です。宿は駅徒歩4分の「コンフォートホテル富山駅前」。朝食無料のビジネスホテルで、2泊目は寝るだけと割り切って宿代を抑えます。

3日目:ガラスの街を歩いて、寿司で締める

3日目の流れ。ガラス美術館と環水公園を歩き、寿司を食べて新幹線で帰京(イラストはイメージです)

TOYAMAキラリの吹き抜け。富山県産材のルーバーが斜めに走る(写真:タチヤマカムイ / CC BY-SA 4.0)

朝は市内電車で富山市ガラス美術館へ。隈研吾設計の複合ビル「TOYAMAキラリ」の中にあり、御影石・ガラス・アルミの外装と、富山県産材のルーバーが吹き抜けに斜めに走る内部は、建物だけでも見る価値があります。常設展は大人200円。6階のグラス・アート・ガーデンでデイル・チフーリのインスタレーションが見られます。

春の富岩運河環水公園。左が天門橋の展望塔(写真:くろふね / CC BY 4.0)

昼前に富岩運河環水公園へ。運河の水辺に芝生が広がる公園で、「世界一美しいスタバ」と呼ばれた店舗と天門橋が定番の景色です。時間と興味があれば、公園から岩瀬まで運河クルーズという選択肢もあります。

昼は寿司で締めます。ます寿しを土産に買って、富山14時台のかがやきに乗れば東京には17時前。最後まで富山湾の幸を引っ張る計画です。

費用試算(2名合計。1人あたりも併記)

来年の通常期を想定した場合

  • 北陸新幹線 東京→黒部宇奈月温泉 指定席 2人で24,600円
  • 北陸新幹線 富山→東京(かがやき)指定席 2人で26,360円
  • 富山地鉄3区間(新黒部→宇奈月温泉/宇奈月温泉→立山/立山→電鉄富山)2人で約9,300円
  • トロッコ電車 宇奈月⇔欅平 往復(リラックス客車込み)2人で12,320円
  • アルペンルート 立山⇔室堂 往復 2人で14,760円
  • 宿泊1泊目:フィール宇奈月 朝食付き 2人で約17,000円(通常期の想定)
  • 宿泊2泊目:コンフォートホテル富山駅前 朝食無料 2人で約11,000円
  • 富山市内電車(均一240円)・ガラス美術館常設 2人で880円
  • 食事(1日目昼夕・2日目昼夕・3日目昼)・雑費 2人で約25,000円

合計:2人で約14.1万円(1人あたり約7.1万円)

15万円の枠に9,000円ほど余裕があるので、2日目の夜の寿司を回転寿司から少し良い店に上げるか、3日目の昼を鮨のランチにするか。富山はその上げ方が一番効く街だと思います。

節約するなら、トロッコのリラックス客車をやめて−2,400円、富山の宿を素泊まり最安帯にして−2,000円ほど。逆に宇奈月の宿を2食付きの温泉旅館にすると+2〜4万円で、繁忙期はさらに上がります(このあたりの実勢は黒部峡谷の記事に書きました)。

※金額は2026年9月時点の情報です。地鉄の一部区間は概算を含みます(下の「正直、まだ分かっていないこと」参照)。

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行くなら、雪の壁か、紅葉か

この計画の主眼は来年、2027年のシーズンです。候補は2つ。

雪の大谷。除雪でできた壁の間を歩ける(写真:くろふね / CC BY 4.0)

ひとつは4月中旬〜6月の「雪の大谷」。室堂に上がる道路の除雪で生まれる雪の壁で、高さは年によって15mを超えます。壁の間をバスで抜け、室堂では壁沿いを歩けるウォークが開催されます。アルペンルートの開通(例年4月15日)直後が壁の最も高い時期。ただしトロッコの運行開始は4月20日頃で、宇奈月側はまだ冬の名残りです。雪の大谷を主役にするなら、1日目と2日目を入れ替えて立山を先にする組み方もあります。

もうひとつは10月の紅葉。室堂の草紅葉が9月下旬、弥陀ヶ原が10月上旬、美女平とトロッコの峡谷が10月下旬〜11月上旬。高原バスで紅葉の標高を1日で縦断できるのは10月中旬あたりで、トロッコの紅葉も始まっています。この計画の行程がそのまま使えるのはこちらです。

避けたいのは梅雨と台風、そして室堂のガスの日。室堂は晴れれば雄山が正面に見え、ガスに入ると数十m先も見えません。2日目の朝に立山のライブカメラを見てから上がるかを決められるのも、宇奈月に前泊するこの行程の利点です。

正直、まだ分かっていないこと

  • 富山地鉄の一部区間の運賃と時刻。電鉄富山〜立山1,420円・電鉄富山〜宇奈月温泉2,160円(2025年4月改定)は確認済みですが、宇奈月温泉→立山の通し運賃と新黒部→宇奈月温泉の片道は概算です。宇奈月温泉発の朝の便が立山に何時に着くか(寺田の乗り換え待ち時間)も計画確定前に要確認。地鉄には鉄道線の乗り放題きっぷもあるので、3区間乗るならそちらが安い可能性があります
  • 地鉄鉄道線のこれから。宇奈月温泉側の区間は存廃が議論されてきましたが、2026年9月29日の県の再構築検討会で、鉄道線全線を「みなし上下分離方式」で維持する案(県・沿線7市町村と地鉄が施設の維持管理費を折半)が示され、全線を残す方向になりました。実施に向けた細部の協議は続いています。この計画の生命線なので、実行前に運行状況を確認してください
  • 室堂の混雑。雪の大谷の時期と紅葉の週末はケーブルカーが整理券待ちになると聞きます。WEBきっぷでどこまで回避できるか
  • フィール宇奈月の朝食付きプランの空き(繁忙期は素泊まりのみになる傾向は黒部記事のとおり)
  • 富山市内電車の運賃と、ガラス美術館の企画展料金(常設200円は確認済み)
  • 3日目に岩瀬(北前船の港町)まで足を延ばす時間があるか。運河クルーズとセットで半日コースになるなら、寿司の時間と両立しない可能性

まとめ

峡谷の底、雲の上、海の幸。標高差2,400mを富山地鉄で縫って、2泊3日・2人で約14.1万円。行きは黒部宇奈月温泉で新幹線を降り、立山を経由して、帰りは富山から乗る行程です。

トロッコだけなら1泊2日で10万円、そこに立山と富山の街を足すならこの計画。

写真はWikimedia Commonsより:みくりが池01(くろふね / CC BY-SA 4.0)、立山雪の大谷20220507-IMG 2160(くろふね / CC BY 4.0)、富岩運河環水公園の桜20230401-IMG 5925(くろふね / CC BY 4.0)、Toyama Kirari internal(タチヤマカムイ / CC BY-SA 4.0)、Toyama Series14773 Tateyama-Line(MaedaAkihiko / CC BY-SA 4.0)。いずれもリサイズのみ。イラストはイメージです。

費用概算(2名合計・2名1室/1人あたり)

  • 北陸新幹線(東京→黒部宇奈月温泉/富山→東京):50,960円/1人25,480円
  • 富山地鉄3区間:約9,300円/1人約4,650円
  • トロッコ電車 宇奈月⇔欅平 往復(リラックス客車込み):12,320円/1人6,160円
  • アルペンルート 立山⇔室堂 往復:14,760円/1人7,380円
  • 宿泊2泊(宇奈月 朝食付き+富山駅前 朝食無料):約28,000円/1人約14,000円
  • 観光・食事・雑費:約25,880円/1人約12,940円
  • 合計:2人で約14.1万円(1人あたり約7.1万円)