この記事は「机上調査プラン」です。筆者は黒部峡谷・宇奈月温泉を訪れたことがありません。行ってみたい場所を、実際に行くつもりで本気で調べて計画した記事です。料金・運行情報は2026年9月時点で確認していますが、全線再開後は運行・立入区域が変わりやすいので、お出かけ前に黒部峡谷鉄道の公式サイトで最新情報をご確認ください。

黒部峡谷・宇奈月温泉の位置。東京から北陸新幹線で黒部宇奈月温泉駅まで約2時間20分、富山地鉄に乗り換えて宇奈月温泉へ(イラストはイメージです)

この計画のまとめ

  • 予算の枠:2人で10万円(1人あたり5万円)・1泊2日・東京発。主眼は来年(2027年)のシーズンで、今年の秋に行く場合の実勢も書きます
  • 行き先:黒部峡谷トロッコ電車(宇奈月〜欅平)+宇奈月温泉(富山県黒部市)
  • 1日目:東京→黒部宇奈月温泉→宇奈月温泉→トロッコで終点・欅平へ→宇奈月温泉泊
  • 2日目:やまびこ遊歩道で新山彦橋を渡るトロッコを撮る→温泉街→午後の新幹線で帰京
  • 費用試算:通常期なら2人で約9.5万円(1人約4.7万円)。宿は駅前の朝食型ホテル+夕食は温泉街で
  • 結論:新幹線と富山地方鉄道を乗り継いで峡谷の入口まで行けるので、1泊2日で10万円に収まる。ただし全線再開直後×紅葉の今年の秋は宿の値段が別物なので、この計画の本命は来年

なぜ今、黒部峡谷なのか

黒部峡谷トロッコ電車は、2024年1月1日の能登半島地震で猫又〜鐘釣間の鐘釣橋が落石の被害を受け、それ以来ずっと宇奈月〜猫又間だけの折り返し運行でした。2026年7月、黒部峡谷鉄道が10月1日始発から宇奈月〜欅平の全線で運行を再開すると発表しました。約2年9か月ぶりです。

全線再開の日付が決まったので、2027年のシーズンに終点まで乗りに行く計画です。

ただし、全線再開後も欅平周辺には制限が残ります。

  • 欅平駅の周辺は、10月1日以降も震災復旧工事が続くため当面立入制限が続きます。楽しめるのは駅前広場の一部、駅屋上からの景色、欅平ビジターセンターの見学だけ
  • そのため欅平駅行きの乗車受付数は限定されます。しかも欅平行きの予約は電話のみで、Webからは予約できません
  • 一方、これまで折り返し駅だった猫又駅は10月1日以降、乗降できなくなります

つまり「終点まで乗れるようになる。でも終点で歩けるのは駅の周りだけ」。それを分かった上で、それでも全線を走るトロッコに乗りに行く計画です。

2026年9月上旬に調べた10月下旬の平日は、手頃な部屋や朝食付きプランの空きが限られていました(詳しくは費用試算)。トロッコは11月30日で今季を終えて冬期運休に入るので、落ち着いて計画するなら来年、2027年4月20日からのシーズンが本命です。

行き方を調べる

東京から宇奈月温泉までは、北陸新幹線と富山地方鉄道の2本で着きます。

  • 北陸新幹線はくたか 東京→黒部宇奈月温泉:指定席片道12,300円(乗車券6,270円+特急料金6,030円)、往復24,600円。所要2時間17分〜2時間36分
  • 富山地方鉄道 新黒部→宇奈月温泉:約25分。新黒部〜宇奈月温泉の往復割引きっぷが大人1,400円(特急料金込み、5日間有効)。新幹線の黒部宇奈月温泉駅と地鉄の新黒部駅は隣接しています
  • 宇奈月温泉駅からトロッコの宇奈月駅までは徒歩5分

片道約3時間・約13,000円。萩や石見銀山のように飛行機の早割を狙う必要がなく、当日券でも値段が変わらないのが北陸新幹線の良さです。

そしてトロッコ電車。全線再開後(10月1日〜11月30日)の運賃は宇奈月⇔欅平 片道2,480円、鐘釣まで1,780円、黒薙まで830円。窓付きのリラックス客車に乗るなら1回600円の車両券が別にかかります。往復乗車券は乗車日から2日間有効。

予約は乗車日の3カ月前から前日15:00まで。黒薙・鐘釣行きはWebでも電話でも取れますが、欅平行きは電話のみです(黒部峡谷鉄道お客さまセンター 0765-62-1011、9:00〜16:30)。「予約は電話で」と書いてある観光列車は珍しいので、ここは計画の最初に押さえるポイントになります。

モデル行程(1泊2日)

以下のトロッコの時刻は、2026年10月1日〜11月30日の公式時刻表を参考にした仮置きです。2026年9月13日時点で2027年の公式時刻表は確認できていないため、発表後に行程を見直します。

トロッコを1日目に乗るか2日目に乗るかで迷いました。2日目の朝一番(宇奈月8:17発)は光が良く混雑も少ないはずですが、雨だと代替がありません。この計画は全線再開後のトロッコが目的の中心なので、1日目に乗って、2日目の朝を天候の保険に残す組み方にしました。

1日目:東京から3時間で峡谷の入口、そのまま終点へ

1日目の流れ。新幹線と富山地鉄で宇奈月温泉へ、トロッコで終点・欅平を往復して温泉宿に1泊(イラストはイメージです)

東京8:41発のはくたか555号で、黒部宇奈月温泉に11:07着。隣の新黒部駅から地鉄で約25分、宇奈月温泉には12時前後に着きます。宿に荷物を預けて、トロッコの宇奈月駅へ。

昼は宇奈月駅周辺で。駅2階に食堂があり、温泉街には富山の魚を出す店もあります。ます寿しを駅で買って、車内で食べるのも良さそうです(車内にトイレはないので、乗る前に済ませておきます)。

トロッコは宇奈月12:50発、欅平14:12着。この便は片道1時間22分の乗車です。宇奈月駅を出てすぐ渡る新山彦橋、湖面を渡る湖上の駅、黒薙の後曳橋、鐘釣のスイッチバック、そして鐘釣橋。10月中旬以降なら紅葉が始まっています。

宇奈月駅を出てすぐ渡る新山彦橋(奥)。手前は遊歩道になった旧・山彦橋(写真:妖精書士 / CC0)

欅平では、正直に書くと、できることは限られています。駅前広場の一部、駅の屋上から見る峡谷、ビジターセンターの展示。奥鐘橋を渡って人喰岩へ、猿飛峡へ、という定番の散策路は復旧工事のため当面歩けません。「欅平に着いた」という事実と、屋上からの景色のために行く、と割り切ります。

帰りは欅平14:37発で宇奈月15:54着(滞在25分)。もう少しいるなら15:19発で16:35着(滞在1時間7分)。10月には駅に「欅平ラウンジ」が開業予定という情報もあるので、開いていれば1時間コースにする価値があります。

最初に考えていたのは宇奈月温泉の「やまのは」です。宇奈月温泉駅から徒歩3分、黒部峡谷を見下ろす棚湯(段になった露天風呂)と、富山湾の幸をその場で調理するライブビュッフェ。楽天トラベルで宇奈月温泉の口コミ件数が最も多い宿で、最初の試算では2食付き2人で3万円ほどと見込んでいました。

ところが2026年9月上旬に10月下旬の平日で調べたところ、本館のスタンダード和室・ツイン・和洋室はすべて空室なし。残っていたのは別館の広い和洋室やデラックス系だけで、1泊2名だと5万円台後半になります。全線再開と紅葉が重なる時期の宇奈月は、7週間前の時点でもう手頃な部屋が埋まっていました。

そこでこの計画では、トロッコの宇奈月駅から徒歩2分の「フィール宇奈月」にします。1泊朝食型のホテルで、2022年4月に大浴場をリニューアル、展望浴場と半露天風呂があります。手作りの朝食が評判で、「トロッコ列車の見える和室」という部屋もあります。夕食は温泉街で食べる前提です。

ただ、こちらも同じ日程で調べると出てくるのは素泊まりのみで、2名1泊約19,600円。朝食付きプラン自体はあるものの、この日程では部屋が出ていませんでした。楽天の表示最安は1名8,250円〜なので、通常期なら朝食付き2名1泊17,000円前後、再開直後×紅葉の今年の秋は素泊まりでも2万円、というのが実勢のようです。

まとめると、宿はトロッコの予約開始(乗車日の3カ月前)に合わせて一緒に押さえるのが正解です。

2日目:橋の上のトロッコを撮って、湯につかって帰る

2日目の流れ。やまびこ遊歩道で橋を渡るトロッコを眺め、温泉街を歩いて新幹線で帰京(イラストはイメージです)

朝は「やまびこ遊歩道」へ。宇奈月駅から宇奈月ダムまで片道約1kmの遊歩道で、かつてトロッコが走っていた鉄道跡です。途中の旧山彦橋からは、新山彦橋を渡るトロッコを間近に見られます。8:17発の始発列車に合わせて橋の上で待つのが、この旅で一番の写真になるはずです。遊歩道は4月下旬〜11月末の通行で、冬期は閉鎖されます。

やまびこ遊歩道・山彦橋から見下ろす黒部川。左手の高架は宇奈月駅方面(写真:mrpbps / CC BY 2.0)

新緑の宇奈月温泉街。正面の洋館風の建物は黒部川電気記念館(写真:掬茶 / CC BY-SA 4.0)

遊歩道の先の宇奈月ダムには、黒部の自然やダムのしくみを紹介する資料館「大夢来館」があり、入館無料。戻ってきたら温泉街を歩きます。駅前の温泉噴水、黒部川電気記念館、トロッコ広場の凸型機関車。雨なら宇奈月国際会館2階の「セレネ美術館」へ。平山郁夫ら7人の日本画家が描いた黒部峡谷の絵が並んでいて、入館料は620円。宿で割引券がもらえることが多いようです。

昼を温泉街で済ませて、地鉄で新黒部へ。黒部宇奈月温泉13時台か14時台のはくたかに乗れば、東京には16時〜17時に着きます。

費用試算(2名合計。1人あたりも併記)

来年の通常期に、駅前の朝食型ホテルへ1泊する場合

  • 北陸新幹線 東京⇔黒部宇奈月温泉 指定席往復:2人で49,200円
  • 富山地鉄 新黒部⇔宇奈月温泉 往復割引きっぷ:2人で2,800円
  • トロッコ電車 宇奈月⇔欅平 往復:2人で9,920円
  • リラックス客車(往復2回):2人で2,400円
  • 宿泊:フィール宇奈月 朝食付き 2人で約17,000円(通常期の想定)
  • 夕食を温泉街で:2人で約6,000円
  • セレネ美術館:2人で1,240円
  • 昼食2回・雑費:2人で約6,000円

合計:2人で約9.5万円(1人あたり約4.7万円)

リラックス客車をやめて普通客車(窓なし)にすれば2,400円下がって約9.2万円。日中なら普通客車で十分で、むしろ窓がないほうが景色は近いです。晩秋は寒いのでリラックス客車が欲しくなります。

宿を2食付きの温泉旅館(やまのはなど)にすると宿泊が2人で3万円台からになり、合計は約11万円。10万円の枠なら朝食型ホテル、温泉旅館に泊まるなら11万円まで見る、という使い分けです。

今年(2026年秋)に行く場合の実勢

再開直後×紅葉の時期は別物です。2026年9月上旬に10月下旬の平日で調べた結果:

  • フィール宇奈月:素泊まりのみ、2名1泊約19,600円。朝食付きプランは部屋が出ていない
  • やまのは:本館のスタンダードは全室空室なし。取れるのは別館の広い和洋室などで1泊2名5万円台後半

この前提で計算すると、朝食型ホテル素泊まり+朝夕外食で2人で約10万円ぎりぎり、温泉旅館なら約13万円。今年行くなら「10万円の枠は素泊まり前提でぎりぎり、旅館なら13万円」と思っておくのが正直なところです。

※金額は2026年9月時点の情報です。宿泊費は日付とプラン次第で大きく変わります。

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行くなら10月か、11月前半か

トロッコは11月30日で今季の運行を終え、翌年4月20日まで冬期運休です。つまり全線再開後、今年乗れるのは2か月だけ。そして上に書いたとおり、その2か月の宿はすでに高い。

だからこの計画の本命は来年、2027年のシーズンです。候補は2つ。

ひとつは新緑の5〜6月。雪解け水で黒部川の水量が多く、峡谷の緑が一番濃い時期です。宿もトロッコも取りやすく、値段も落ち着いているはずです。もうひとつは紅葉の10月下旬〜11月中旬。これがトロッコ本来の旬ですが、人気も宿代も最大になるので、乗車日の3カ月前の予約開始日に宿と一緒に押さえるのが前提です。11月24日以降はリラックス客車中心の減便ダイヤになります。

避けたいのは雨の日。トロッコの普通客車は窓がないので、雨だと素直に濡れます。この計画で1日目にトロッコを置いたのは、雨なら2日目の朝に振り替えられるようにするためです。

正直、まだ分かっていないこと

机上調査なので、確認しきれなかったことを書いておきます。

  • やまのはの本来の価格帯。10月下旬の平日で調べたら手頃な部屋が埋まっていたため、空いている時期の2名1室・2食付きがいくらなのかは分からずじまいです。楽天表示の最安は1名11,600円〜なので、時期を外せば2人3万円前後で泊まれるはずですが未確認です
  • 他の宿の空き状況。宇奈月温泉には12軒の宿があり、延対寺荘やグランヴィリオホテルなども楽天に出ています。やまのは以外がどのくらい埋まっているかは調べていません
  • 欅平駅行きの「乗車受付数の限定」の実際。何便がどれだけ限定されるのか、電話予約がどのくらい取りにくいのかは、再開後にならないと分かりません
  • 鐘釣駅で降りた場合の河原露天風呂と万年雪展望台。鐘釣駅上流の斜面崩落箇所も復旧工事中なので、駅周辺のどこまで歩けるかは要確認です。歩けるなら「欅平まで行かず鐘釣で降りる」のも有力です
  • 欅平ラウンジの開業日と中身
  • 地鉄の新黒部発の時刻と新幹線との接続。25分に1本あるわけではないので、11:07着からの待ち時間で宇奈月着が前後します
  • 宇奈月駅2階の食堂と温泉街の昼食の選択肢。ます寿しを買える場所

まとめ

全線再開後の黒部峡谷トロッコと、その麓の宇奈月温泉。東京から新幹線と地鉄で3時間、1泊2日、通常期なら2人で約9.5万円。今年の秋に駆けつけるなら素泊まり前提で10万円ぎりぎり、落ち着いて行くなら来年の新緑か紅葉。予約の合言葉は「トロッコの3カ月前に、宿も一緒に」。

写真はWikimedia Commonsより:Yamabiko Bridge and Shin-Yamabiko Bridge 01(妖精書士 / CC0)、Looking down Kurobe River やまびこ遊歩道山彦橋から黒部川下流を見る Oct 11, 2024(mrpbps / CC BY 2.0)、Street in Unazuki Onsen 20180505b(掬茶 / CC BY-SA 4.0)。いずれもリサイズのみ。イラストはイメージです。

費用概算(2名合計・2名1室/1人あたり)

  • 北陸新幹線 東京⇔黒部宇奈月温泉 指定席往復:49,200円/1人24,600円
  • 富山地鉄 往復割引きっぷ:2,800円/1人1,400円
  • トロッコ電車 宇奈月⇔欅平 往復(リラックス客車込み):12,320円/1人6,160円
  • 宿泊1泊(朝食付き・通常期想定):約17,000円/1人約8,500円
  • 夕食・観光・昼食2回・雑費:約13,240円/1人約6,620円
  • 合計:2人で約9.5万円(1人あたり約4.7万円)
  • 2食付きの温泉旅館に泊まる場合:約11万円
  • 2026年秋の実勢:素泊まり前提で約10万円、温泉旅館は約13万円