この記事は「机上調査プラン」です。筆者は萩を訪れたことがなく、津和野は15年ほど前に日中だけ立ち寄ったことがあるものの、宿泊も写真もありません。行ってみたい場所を、実際に行くつもりで本気で調べて計画した記事です。料金・営業情報は2026年9月時点で確認していますが、お出かけ前に各公式サイトで最新情報をご確認ください。

萩・津和野の位置。東京から萩・石見空港まで飛行機で約1時間35分。空港は島根県益田市にあり、萩は山口県側、津和野は島根県側です(イラストはイメージです)

この計画のまとめ

  • 予算の枠:2人で15万円(1人あたり約7.5万円)・2泊3日・東京発
  • 行き先:萩(山口県萩市)+津和野(島根県津和野町)
  • 1日目:羽田→萩・石見空港→乗合タクシーで萩→城下町と萩城跡→萩温泉郷の宿
  • 2日目:松陰神社と明倫学舎→路線バスで山を越えて津和野→殿町通り→津和野唯一の温泉宿
  • 3日目:森鷗外記念館・城跡リフト・うずめ飯→乗合タクシーで空港→羽田
  • 費用試算:2人で15万円前後(1人約7.7万円)。航空券が2人で約48,000円なら約14.9万円。宿を朝食付きビジネスホテルと素泊まりにすれば2人で約10.5〜11万円
  • 結論:交通費だけで2人6〜7万円かかる旅。温泉宿2泊の標準試算は15万円前後、10万円に寄せるなら宿を削る

なぜ萩と津和野なのか

津和野・殿町通り(写真:そらみみ / CC BY-SA 4.0)

「予算でどこに行ける?」の調査を続けていて、萩と津和野はずっと気になっていた組み合わせです。どちらも城下町、どちらも東京からは行きにくい、そして2つの町は路線バス1本でつながっている。1泊2日ではどちらか片方しか無理なので、2泊3日の枠を作ったら最初に書こうと決めていました。

萩は毛利氏の城下町で、江戸時代の町割りがそのまま残っています。松下村塾や萩城下町は2015年に世界遺産「明治日本の産業革命遺産」の構成資産になりました。津和野は「山陰の小京都」と呼ばれる小さな城下町で、白い土塀の通りの掘割に鯉が泳いでいる写真を見たことがある人は多いと思います。

正直に書くと、津和野には15年ほど前に一度だけ立ち寄っています。ただ宿は別の町で、日中に数時間歩いただけ。「街並みがよかった」という記憶しかなく、鯉がいたかどうかも覚えていません。写真も残っていません。

調べてみて分かったのは、その頃が鯉の一番多かった時期だったということです。殿町通りの掘割の鯉は、コイヘルペスや動物による捕食で、500匹以上いた2010年ごろから10年で半数以下の約200匹に減っていて、町と地元出身者が回復のプロジェクトを始めているそうです。自分が見たはずのものを覚えていない、というのがこの旅の動機のひとつになりました。今回は初訪問のつもりで、ゼロから調べています。

行き方を調べる

まず飛行機以外の選択肢を消します。東京から萩へ新幹線で行く場合、新山口駅まで「のぞみ」で約4時間20分、指定席で片道22,060円。そこから直行バス「スーパーはぎ号」で東萩駅まで約1時間10分、1,600円(2027年3月末までの割引運賃)。合計で片道23,660円・約5時間半。往復すると1人47,320円、2人で9.5万円です。15万円の枠でも重すぎるので、飛行機一択です。

  • 羽田→萩・石見空港:ANAで約1時間35分。1日2往復で、朝の便は10:20着、夕方の便は17:30着
  • 帰りは11:00発と18:15発。この計画は行きが朝便、帰りが夕方便です
  • 往復の目安:早めに取れば2.4〜2.9万円/人(2026年10月〜2027年2月の最安値例で23,995〜24,590円)。近い日付だと3.2〜3.9万円、直前や連休は4〜5万円台

ここで最初のポイントです。空港の名前は「萩・石見」ですが、場所は島根県益田市。萩市の中心部までは70分、津和野までは50分かかります。空港から萩・津和野へ向かう公共交通は、予約制の「乗合タクシー」が主役です。

  • 空港→萩市中心部:萩近鉄タクシーの乗合タクシー、1人2,800円、約70分。旧萩市内なら宿まで直接送ってくれます。前日17時までに予約
  • 空港⇔津和野:KoiKoiタクシーの乗合タクシー、1人2,200円、約50分。津和野行きは飛行機到着の約10分後に出発、空港行きは飛行機出発の約1時間40分前に津和野を出ます。前日21時までに予約
  • 節約するなら:空港→益田駅の路線バス(340円)+JR山陰本線で東萩駅(990円)。合計1,330円ですが、10:20着の便で東萩駅に着くのは13:02。タクシーより1時間半近く遅くなります

そして萩⇔津和野は、防長交通の路線バス(東萩駅前〜津和野バスセンター)が1日5往復。所要約1時間45分、2,220円。山の中を走る長い路線バスですが、これがあるからこの2つの町を1本の旅にできます。

モデル行程(2泊3日)

計画した2泊3日の流れ。萩・石見空港から乗合タクシーで萩へ。1泊して翌日バスで津和野へ。2泊目は津和野で、3日目に乗合タクシーで空港へ戻る(イラストはイメージです)

空港は津和野側にあるので、先に遠い萩へ行って、津和野を経由して空港に戻るのが一筆書きになります。萩を2泊にして津和野を日帰りにする案も考えましたが、バス往復で移動費が倍になるうえ、最終日に萩から70分かけて空港へ戻ることになるので、萩1泊+津和野1泊にしました。

1日目:昼前に萩へ、午後は城下町

羽田を朝に出て、萩・石見空港に10:20着。予約しておいた乗合タクシーで、11:40頃には萩の宿に着く計算です。旧萩市内なら宿の前まで送ってくれるので、荷物を預けてそのまま町へ出られます。

昼は東萩駅の近くにある道の駅「萩しーまーと」で魚を。萩は瀬付きあじや剣先いかなど魚の町なので、最初の食事は市場の食堂が良さそうです。

午後は城下町へ。萩の市内は循環バス「まぁーるバス」が西回り・東回りの2ルートで約45分ごとに走っているので、これで移動します。城下町の中心は堀内・呉服町あたりで、なまこ壁の土塀と夏みかんの木が続く通りが世界遺産の範囲です。そこから西へ歩くと萩城跡・指月公園。天守は明治7年に解体されていますが、石垣と堀が残っています。入園料は大人220円で、旧厚狭毛利家萩屋敷長屋と共通券です。

萩城下町・呉服町筋。石垣の上に白壁の土塀が続く(写真:そらみみ / CC BY-SA 4.0)

夕方は菊ヶ浜へ。城跡のすぐ北側にある砂浜で、「日本の夕陽百選」に選ばれているそうです。萩は夕日の町でもあるので、1日目の締めはここにします。

宿は萩温泉郷の温泉宿にします。楽天トラベルには萩温泉郷の宿が10軒ほど載っていて、萩本陣(14種類の湯巡り)、萩小町(日本海の夕景)、リゾートホテル美萩(城下町徒歩圏)などが選べます。この計画では、笠山の中腹から萩湾を見下ろす露天風呂がある「萩観光ホテル」にしました。東萩駅からの無料送迎があり、1泊2食付きで1人15,400円〜のプランがあります。夕食は萩の魚の会席。1日目の夜は宿でゆっくりする前提です。

2日目:松陰神社から、バスで山を越えて津和野へ

朝は松陰神社へ。境内に世界遺産の松下村塾が残っていて、拝観は無料です。ここから萩・明倫学舎まではまぁーるバスで移動。江戸時代の藩校・明倫館の跡地に建つ木造校舎で、2号館の「世界遺産ビジターセンター・幕末ミュージアム」は観覧料300円。萩博物館とのセット割もあります。

昼を萩で済ませて、東萩駅前13:00発のバスで津和野へ。バスは吉部、三谷、徳佐と山の中の集落を抜けて、津和野駅に14:45着。11:45発(13:30着)に乗れば津和野の時間が1時間15分増えますが、その分萩の午前が短くなります。ここは萩をどれだけ歩きたいかで決めてください。

殿町通り。なまこ壁の土塀に沿って掘割が流れ、新緑の並木が続く(写真:そらみみ / CC BY-SA 4.0)

津和野駅から殿町通りまでは徒歩10分。宿に荷物を置いてから歩きます。殿町通りは津和野で最も古い町並みが残る通りで、白い土塀に面した掘割に鯉が泳ぎ、津和野カトリック教会(内部が畳敷き)、藩校養老館などが集まっています。5月下旬から6月中旬には掘割に約3,000本の花菖蒲が咲くそうです。夕方には通りがライトアップされます。

時間があれば太皷谷稲成神社まで足を延ばします。津和野城跡のある山の中腹にあり、約1,000本の朱い鳥居のトンネルをくぐって上ります。駅から徒歩30分。日本五大稲荷のひとつだそうです。

宿は「ゆとりろ津和野」に決めました。津和野で唯一の温泉宿で、駅から徒歩8分。自家源泉の大浴場と露天風呂があり、夕食は和牛カルビの鉄板焼きと郷土鍋を中心にした基本会席、朝食は鉄板で作る出汁巻き卵付きの和朝食とのことです。2026年10月の平日・2名で調べたところ、お風呂なしの洋室で1泊2名約37,700〜41,800円(クーポン適用の有無で変動)、和室ツインで約39,800〜44,000円。入湯税150円/人が別にかかります。素泊まりプランなら2名12,100円〜も出ています。

3日目:鷗外の家と天空の城跡、うずめ飯で締める

朝は森鷗外記念館へ。鷗外が10歳まで過ごした旧宅に隣接していて、一般600円(旧宅の観覧料込み)、9:00〜17:00。

記念館から数分歩くと津和野城跡の観光リフト乗り場。往復700円で、リフトを降りてから城跡まで徒歩20分。石垣の上から、青野山と津和野川と町並みが一望できるそうです。秋から冬には朝霧に石垣が浮かんで「天空の城」と呼ばれます。運行は9:00〜16:30(下り最終16:20)、12月から2月末までの平日は運休です。

津和野城跡の人質郭と三の丸。石垣の先に山並みが広がる(写真:Mocchy / パブリックドメイン)

昼は津和野の郷土料理「うずめ飯」。具をご飯の下に埋めた(うずめた)茶漬けのような料理で、殿町通り周辺の食事処で食べられます。お土産は津和野名物の源氏巻。

18:15発の便なら、乗合タクシーが津和野を出るのは16:35頃です。昼食のあとに2時間ほど余るので、本町通りの古い商家を歩くか、安野光雅美術館(駅前)に寄る時間はあります。羽田には19:45頃の到着です。

費用試算(2名合計。1人あたりも併記)

温泉宿に2泊する場合

  • 航空券:羽田⇔萩・石見 往復 2人で約52,000円(早割で1人2.4〜2.9万円想定)
  • 乗合タクシー 空港→萩:2人で5,600円
  • 防長バス 東萩→津和野:2人で4,440円
  • 乗合タクシー 津和野→空港:2人で4,400円
  • 宿泊1泊目:萩観光ホテル 2食付き 2人で約31,000円(1人15,400円〜のプラン)
  • 宿泊2泊目:ゆとりろ津和野 基本会席2食付き 2人で約40,000円(洋室お風呂なし、2026年10月平日の実勢)
  • 観光:萩城跡220円、明倫学舎300円、鷗外記念館600円、城跡リフト700円 → 2人で3,640円。市内バスを含めて約4,000円
  • 昼食3回・雑費:2人で約12,000円

合計:2人で15万円前後(1人あたり約7.7万円)

航空券を11〜2月の最安帯(2人で約48,000円)で取れれば149,440円(約14.9万円)で、15万円にぎりぎり収まります。近い日付で取ると数千円はみ出す計算です。

節約版:宿を絞る

  • 航空券:2人で約48,000円(11〜2月の最安帯で取れた場合)
  • 空港→萩:路線バス+JRで2人で2,660円
  • 防長バス、乗合タクシー:2人で8,840円(上の試算と同じ)
  • 宿泊1泊目:萩ロイヤルインテリジェントホテル(東萩駅徒歩1分・朝食無料・大浴場あり)2名利用で1人5,050円〜 → 約10,100円
  • 宿泊2泊目:ゆとりろ津和野 素泊まり 2人で12,100円〜
  • 夕食を外で2回:2人で約10,000円
  • 観光・昼食・雑費:2人で約16,000円

合計:2人で約10.5〜11万円(1人あたり約5.3〜5.5万円)

10万円ぴったりに寄せるなら、昼を軽くして観光を絞れば届く範囲です。ただそこまでやると、萩の魚も津和野の温泉も削ることになるので、この旅は「2人で15万円」の枠で書くのが正直なところだと思っています。温泉宿2泊と魚の会席を入れた標準試算は153,440円で、15万円を3,440円超えます。

※金額は2026年9月時点の情報です。航空券は時期と購入タイミングで大きく変動し、宿泊費は日付とプラン次第で変わります。

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行くなら5月末か、11月か

調べていて2つの季節が候補に残りました。

ひとつは5月下旬〜6月中旬。殿町通りの掘割に約3,000本の花菖蒲が咲き、鯉と白壁と菖蒲がそろう津和野の一番有名な景色になります。萩では夏みかんが実る時期で、城下町の土塀の上に黄色い実が並びます。

もうひとつは11月。太皷谷稲成神社の例大祭が11月15・16日で、紅葉も見ごろだそうです。秋から冬は津和野城跡に朝霧がかかる季節でもあり、朝霧の時期にはリフトの早朝運行が行われた年もあります。航空券も11月は最安帯です。

避けたいのは12月から2月末の平日。城跡リフトが運休します。それと津和野・萩は雪の地域なので、冬は乗合タクシーの運行にも影響が出る可能性があります。

正直、まだ分かっていないこと

机上調査なので、確認しきれなかったことを書いておきます。

  • ゆとりろ津和野の2食付きは、2026年10月の平日・2名1泊で楽天トラベルに日付を入れて確認しました(1泊2名約3.8〜4.2万円)。時期・曜日で変わるので、行く日付で再確認してください
  • 萩市内の「まぁーるバス」の運賃と、萩観光ホテルの送迎の時間帯(東萩駅発の時刻)
  • 森鷗外記念館の休館日。展示替えなどで臨時休館があるそうなので、行く前に公式サイトで要確認
  • 羽田側の発着時刻。萩・石見空港の到着10:20・出発18:15は2026年3月29日〜10月24日のダイヤで確認しましたが、羽田の発時刻と羽田着の時刻は出発前に要確認です
  • 3日目、昼食後から16:35までの2時間を津和野で何に使うか。町がコンパクトなので余りそうな気配があります
  • 殿町通りの鯉の現況。2025年2月時点で約200匹という報道でしたが、その後の回復プロジェクトでどう変わっているか

15年前に自分が見たはずの鯉を、今度はちゃんと数えて帰ってきたいと思います。

まとめ

世界遺産の城下町・萩と、鯉の掘割の小京都・津和野。2つの町を路線バスで結んで2泊3日、2人で15万円前後。交通費だけで2人6〜7万円かかる旅なので、10万円に収めるには宿を削る必要があります。温泉宿に2泊して魚と和牛の会席を食べる標準試算は15万円前後で、航空券が2人で約48,000円なら約14.9万円です。

「空港の名前に萩と付いていても、萩は70分先」というのが調べてみての発見でした。空港から萩へは乗合タクシーで約70分、帰りは津和野側から約50分で空港へ。空港の位置を先に見てから行程を組むと、この2つの町はきれいに一筆書きになります。

写真はWikimedia Commonsより:Gofukumachisuji Street in Hagi Castle Town 1(そらみみ / CC BY-SA 4.0)、Tonomachi-dori Street, Tsuwano, Shimane prefecture Wikivoyage banner(そらみみ / CC BY-SA 4.0)、Tonomachi-dori Street in Tsuwano, Kanoashi, Shimane 5(そらみみ / CC BY-SA 4.0)、TsuwanoJo(Mocchy / パブリックドメイン)。いずれもリサイズ・切り抜きのみ。イラストはイメージです。

費用概算(2名合計・2名1室/1人あたり)

  • 航空券 羽田⇔萩・石見 往復:約52,000円(早割の場合)/1人約26,000円
  • 乗合タクシー・路線バス(空港→萩、萩→津和野、津和野→空港):14,440円/1人7,220円
  • 宿泊2泊(2食付き):約71,000円/1人約35,500円
  • 観光:約4,000円/1人約2,000円
  • 昼食3回・雑費:約12,000円/1人約6,000円
  • 合計:2人で15万円前後(1人あたり約7.7万円)(航空券が最安帯なら約14.9万円)
  • 宿を朝食付きビジネスホテル+素泊まりにした節約版:2人で約10.5〜11万円